親子の普遍性を詠うもの【皇太子ご夫妻の御歌】

歌会始お題一覧

宮中では天皇の和歌を御製(ぎょせい)皇族の和歌を御歌(おうた)と敬って呼びます。

内廷皇族はWaka Poemsの英訳があり、2004年からは各御歌に歌意が添えてあります。


1月13日に宮中歌会始があったので、今までの御歌をさかのぼりました。女王方の和歌は近況や素直な気持ちがわかって好きなのですが、喪中につき発表がなくさみしいです。

愛子内親王を思わせる皇太子夫妻の和歌の一覧です。

最後まで読むとちょっとした発見があります。

2017年 「野」

那須の野を親子三人(みたり)で歩みつつ吾子に教ふる秋の花の名

As we three, parents and child, wander through the fields of Nasu,
I teach my daughter the names of the autumn flowers

皇太子同妃両殿下には、夏に那須御用邸に御滞在の際には、 御用地内の御散策を折々にお楽しみになられています。昨年の 夏には、中学三年生になられた愛子内親王殿下を伴われての御 散策の機会が多くございました。このお歌は、御用地内の翁ガ丘を三殿下でお歩きになりながら、そこに咲く、松虫草、女郎花、 梅鉢草などの秋の草花を内親王殿下にお教えになった時の喜びをお詠みになったものです。

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2016年山の日のハイキング・長野上高地
2013年 「立」

皇太子

幾人の巣立てる子らを見守りし大公孫樹の木は学び舎に立つ

The huge ginkgo tree that has watched over so many youth as they start out into the world stands tall in the schoolyard.

皇太子殿下には、昨年の秋、御自身が学ばれ、現在は愛子内 親王殿下が通われている学習院初等科で「大いちょう」と呼ば れて親しまれている大きな銀杏の木が美しく黄葉し、その下で 多くの児童が遊んでいる様子を御覧になりました。そして、昭 和のはじめ頃から自生するこの銀杏の木に見守られながら、幾 人のこどもたちが巣立っていったのだろうと感慨深く思われ、 歌にお詠みになられたものです。

皇太子妃

十一年前吾子の生れたる師走の夜立待ち月はあかく照りたり

In the night eleven Decembers ago when my child was born, the seventeen day old moon shone brightly.

愛子内親王殿下は平成十三年十二月一日午後にお生まれになり ました。 その日の夜、空に月が明るく照っていたことを皇太子妃殿下には大 変印象深くお思いになりました。 後に、妃殿下にはこの月が十五夜から二日後にあたる十七夜の立待 ち月であったことをお知りになりました。 このお歌は、内親王殿下がお生まれになられた日の夜の光景を懐か しくお思いになりながらお詠みになられたものでございます

立待ち月とは 立ちながら待つうちに出てくる月の意。

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2011年 「葉」

吹く風に舞ふいちやうの葉秋の日を表に裏に浴びてかがやく

The leaves of the ginkgo dancing in the breeze shine, each suffused all over with the autumn sun.

このお歌は、昨年十一月終わり頃、皇太子妃殿下が愛子内親 王殿下の御通学になる学習院初等科にいらっしゃいました折に、 校庭に立つ一本の大きないちょうの木の黄金色の葉が、吹いて きた風に舞い、秋の日を受けてかがやきながら散りゆく美しさ にお心を動かされて、お詠みになられました

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2010年11月27日学習院初等科祭
2009年 「生」

制服のあかきネクタイ胸にとめ一年生に吾子はなりたり

With a red necktie on her uniform, my daughter has become a first- grader.

昨年の春、愛子内親王殿下は、学習院初等科にご入学になりました。 新しい制服に赤いネクタイをおとめになった内親王殿下が、小学生と しての新しい一歩を踏み出されることに喜びと深い感慨をお覚えにな って、皇太子妃殿下がお詠みになられたお歌です。

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2008年 「火」

ともさるる燭の火六つ願ひこめ吹きて幼なの笑みひろがれり

Making her wish the child blows out the flame from the six candles, and a smile of joy spreads across her face.

愛子内親王殿下は、昨年十二月に六才のお誕生日をお迎えになられ ることを大変楽しみになさっていらっしゃいました。このお歌は、お 誕生日のお祝いの折り、ケーキに立てられた六本のろうそくの火を吹 き消された内親王殿下のお顔に喜びの笑みがひろがっていく様子をお 詠みになられたものです。 皇太子妃殿下は、お誕生日を心待ちにしておられた内親王殿下のご 成長を嬉しくお思いになられこのお歌をお詠みになりました。

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2007年 6歳誕生日公開
2007年 「月」

月見たしといふ幼な子の手をとりて出でたる庭に月あかくさす

“I want to see the moon”, said the little child. Hand in hand we entered the garden, and the moon shown brightly.

昨年秋のお月見の頃のある夕べ、愛子内親王殿下が「お月様がみた い」とおっしゃられて、皇太子妃殿下には、内親王殿下とご一緒に東 宮御所のお庭にお出になられました。 庭には月が明るく照らしており、妃殿下には内親王殿下とこの月を ご一緒にご覧になりながら、つながれたお手のぬくもりに、幼い内親 王殿下と過ごされる日々のお幸せを感じられてお詠みになられたお歌 でございます。

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2006年9月18日車寄せでお見送り
2006年 「笑み」

皇太子

いとけなき吾子の笑まひにいやされつ子らの安けき世をねがふなり

Soothed by the smile of our young daughter, I hope for a peaceful world for all children.

皇太子殿下には、すこやかに満四歳になられた敬宮愛子内親王殿下 のご成長をやさしく見守っておられます。 このお歌は、幼い愛子内親王殿下のほほえみに心いやされながら、 愛子内親王殿下をはじめ、世界の子供達がやすらかに過ごせる世が実 現できるように、との願いをこめて詠まれたものです。

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2005年 4歳誕生日公開

皇太子妃

輪の中のひとり笑へばまたひとり幼なの笑ひひろがりてゆく

When one in the circle laughs, so does another, and the children’s laughter spreads more and more.

皇太子同妃両殿下には、内親王殿下が同年代のお子様たちとお過ご しなられることを大切にお思いでいらっしゃいます。 そのようなお集り、お教室のお後、お子様たちが自然に輪になり興 じるうちに、一人が笑い、また一人が笑い、次々と笑いが大きく広が っていきました。 そのお子様たちを優しく見守るお母様方にも笑いが伝わり、その場 が幸せに満ちていく様子を、妃殿下がほほえましく思われて、詠まれ たものです。

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2005年 4歳誕生日公開
2005年 「歩み」

紅葉ふかき園生の道を親子三人なごみ歩めば心癒えゆく

We walk with our young child in tranquility along the garden path, deep scarlet in maple leaves,
And my heart grows comforted and restored.

深まり行く秋の午後、美しく色づいた紅葉の赤坂御用地を三殿下で ご散策になられました。 歩みの一歩一歩の中に、皇太子殿下、内親王殿下と共におられる和 やかな、静かな幸せに心安らいでいかれるお気持ちをお詠みになりま した。 特に、妃殿下には、この一年余り、皇太子殿下よりのお心温かいお 力添えと内親王殿下のお健やかなご成長に支えられて、徐々に心身の お力を回復なさってこられたことに思いを新たにされ、深い感謝のお 気持ちをこめてお詠みになったお歌です。

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2004年 3歳誕生日公開
2004年 「幸」

皇太子

すこやかに育つ幼なを抱きつつ幸おほかれとわが祈るなり

As I embrace my child growing up in blooming good health,
my prayer is that she will be blessed with happiness.

皇太子殿下には、すこやかに満二歳になられた愛子内親王殿下のご 成長を、やさしく見守っておられます。このお歌は、内親王殿下が、 今後ともすこやかに成長され、幸多い人生をお送りになられるように、 との願いをこめてお詠みになられたものです。

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2003年7月14日赤坂御用地ちかくの公園で

皇太子妃

寝入る前かたらひすごすひと時の吾子の笑顔は幸せに満つ

In the moments I spend talking together with my daughter
before she falls asleep, she smiles, filled with happiness.

皇太子妃殿下には、ご公務の傍ら、愛子内親王殿下のご養育に心を くだいてこられ、特に、夜の内親王殿下のお休み前に、ご一緒に過ご される時間を大切にしてこられました。 このお歌は、昨年秋、東宮御所を離れてのご公務からお戻りになら れた妃殿下が、内親王殿下のお休み前の一時、ベッドの傍らでいろい ろなお話をされた折、内親王殿下があどけなく幸せそうな笑顔をみせ られたことに安堵なさり、将来にわたっての内親王殿下の幸せを願っ て、お詠みになられたものです。

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2003年8月25日 那須
2003年 「町」

いちやう並木あゆみてであふ町びとにみどり児は顔ゑみてこたふる

As we walk along the gingko-lined road,
our infant daughter answers the people of the town with a smile.

One morning last autumn, Their Imperial Highnesses took their daughter Princess Aiko on a walk through the Outer Gardens of the Meiji Shrine along a road lined with gingko trees in their beautiful fall colors. This poem calls to mind how the young Princess replied with a smile to the smiles and greetings of the passers-by.

昨年秋のある朝、両殿下は愛子内親王殿下を伴って、明治神宮外苑の美しく紅葉した銀杏並木を歩かれました。このお歌は、幼い内親王殿下が通りを行く人々のご挨拶に笑顔でお答えになったようすを思い起こされて詠まれたものです。※筆者訳

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2002年11月21日神宮外苑を散歩
2002年 「春」

生れいでしみどり児のいのちかがやきて君と迎ふる春すがすがし

The life of the newborn child shines beautifully,
the spring I greet with my husband is so fresh and pure.

Her Highness the Crown Princess gave birth to an imperial princess on December I of last year. This poem describes her tender feelings for the beautiful, young life of the infant princess soon after her birth, and of her joy in welcoming the new year together with His Highness the Crown Prince and the healthy young princess.

昨年12月1日に皇太子妃殿下は内親王殿下をご出産されました。このお歌は生まれて間もない内親王殿下のちいさな命の美しさにたいする慈しみと、皇太子殿下とお健やかな赤ちゃんと共に新年を迎える喜びをお詠みになったものです。※筆者訳

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内親王の誕生直前のもの

2001年 「草」

君とゆく那須の花野にあたらしき秋草の名を知りてうれしき

冒頭で紹介した2017年、「那須の野を親子三人で歩みつつ吾子に教ふる秋の花の名」

と呼応しているようでうれしい。16年かかって時空を超えているみたいだ。まるで円環の中にいるのかと思った。歌を追うことでこの16年がダイジェストのように思い出されました。彼女の歌からは子供を持って家族が増えることの楽しさを感じました。

How happy to learn the names of the new autumn grasses,
Walking with you in the flower fields of Nasu.

Their Imperial Highnesses find enjoyment in occasionally walking through nature and viewing the plant life. Since their marriage, they have spent some time every year at the Imperial Villa in Nasu. This poem recalls Her Imperial Highness’s joy at learning the names of the little autumn flowers they see on their walks together there.

 


断片的な作品から人格を推定するのは品がないことと思う。そこに詠まれた事象から自分を重ね合わせて普遍的な情景を見出すのがよい鑑賞者と思う。

そして、皇太子妃の歌は困難から一歩進んでいつも未来への希望があることがわかる。

 

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